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骨盤臓器脱について知っていますか?

[2022.07.06]

*クリニックビルだより2022年春号掲載内容*

聞きなれない言葉かも知れません。

言葉の通りですが、腰骨の骨盤の中にある臓器である腸や子宮、膀胱といった臓器が下がって生じる病態です。

出産経験のある高齢の方に多いですが、お若い方でも産後に子宮が下がって体外に出てしまうこともあります。

 腟より臓器が下がってくるため、

「股に挟まった感じがする、歩きにくい」

「腟よりこぶが触れる」

「何か下がっている感じがする・違和感がある」

「尿が出にくい」

等の症状から自覚される方が多いです。

原因は、出産・閉経・便秘、腹圧がかかることが多い動作や仕事、締め付ける下着や服装等さまざまです。

徐々に骨盤底の筋肉が弱くなり、臓器を支えられず、骨盤内の臓器が下がったり腟より出てしまう状態となります。

骨盤臓器脱の種類は、どの部分が脆弱化しているかで変化します。

*子宮脱

*膀胱瘤

*直腸瘤

*小腸瘤

*腟脱

など、部位や下がる程度により細かく分類されています。

治療方針の決定には、現在の骨盤臓器脱の状態や生活スタイル、他の病気などを考慮し、適切な方法をご提案させて頂きます。

そのうえで患者さんの希望に沿った治療を選択いたします。

保存的療法  

 ・骨盤底筋トレーニング

 ・生活指導

 ・姿勢、動作、排泄状況の見直し

 ・ペッサリー保存療法 

内服療法 

 ・漢方 (四物湯・補中益気湯など)

手術(当院では手術は行っておりません。専門病院へご紹介いたします)

当院の特色として、金曜に完全予約制で骨盤底トレーニング指導外来を行っております。

症状のごく一部の抜粋ですが、下記の症状に当てはまる方はいらっしゃいませんか?

・外陰部への臓器脱出感や下垂感

・尿もれ

・尿意の切迫

・頻尿

・疼痛(性交痛・陰部痛)

大なり小なりこのような症状を抱えている方は多いと思います。

特に恥ずかしいことではなく、世代に共通して直面する課題なのです。

当院での指導内容は

・カウンセリング

・骨盤底筋群の仕組みと骨盤底トレーニングの説明

・経腟触診での骨盤底トレーニングの実際

・日常生活のアドバイスや骨盤底筋以外の運動等の指導

・自宅でのトレーニングプログラムの作成

2回目以降は自宅でのトレーニングの効果、状況確認やプログラムの見直し

を基本としております。

30分の内容ですが、盛沢山です。

ご来院の際はご予約の上、脱ぎ着しやすい服装でお願いします。

 そして、骨盤臓器脱の保存的治療の一環でリング・ペッサリー療法外来も同様に行っています。

小さいものは直径5㎝ほどの弾力性のある医療用の輪(リング)です。

腟内に挿入することで下垂した臓器を留め置くイメージです。以前は留置したままで定期的に通院を行うことが通常でした。しかし、そうすると出血・おりもの増加・悪臭・悪化すると腟粘膜にペッサリーが入り込み、手術を必要とすることもあります。

当クリニックでは、上記のような状況を回避するために定期通院を推奨しています。その方に合ったタイミングで通院し、医療者側で洗浄を行い、より快適に使用して頂く工夫をしております。ただ実は、一番清潔でトラブルが少ないのは、患者さんご自身でつけ外しを行い洗浄する自己着脱です。最初は難しいものですから、こちらもトレーニング専用の外来を行っています。どの姿勢での着脱を行うのか一緒に確認し、ペッサリー着脱のコツもご説明いたします。以前にリングペッサリーを挿入したものがそのままになっている方などもご相談に乗りますので、一度ご来院下さいね。

料金

 骨盤底トレーニング指導外来、ペッサリー自己着脱指導外来は自費の外来です。

 現在は横浜みなとみらい院にて実施しております。TEL045-663-3636

 骨盤臓器脱の治療は保険診療で行っています。

 気になる症状がある方は一度ご相談頂ければと思います。

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